だいぶご無沙汰してしまった。
さて、仕事を始めて10年。久々にゆっくり過ごしてよい時間をもらっている。
お休みに入るまでは、仕事がものすごく忙しくて、この時間が来るのが待ち遠しかった。お休みに入ったら、これもやろう、あれもやろうと考えていた。
しかしいざ、お休みになってみると、何をどうしてよいかわからない。気づくとあっという間に1日が終わっている。

思うに、この10年間、あまりに人(会社)から与えられた時間を過ごすことを考えてきてしまったために、この、ただただゆっくりして良い時間、自分で好きに使って良い時間をどう過ごしてよいかわからなくなってしまっているのである。
そういう意味では、時間の使い方について考えられる良い機会だと思う。

とりあえず、この環境になれるのに、もうしばらくかかりそうである。

雪が降った日。

2016年1月18日 日常
雪が降ること自体、東京でもそうそう珍しいことではない。
ただ、東京にこの冬初めて雪が積もった今日は、ねねにとって特筆すべき日であった。ので、ここに書き残しておきたい。

そもそも、2日前くらいから風邪引きであった(まあそもそも6ヶ月前から普通の体調ではなかったが)。
いつもの風邪で鼻をぐしゅぐしゅやりつつ、昨夜はユウさんに全部ご飯を作ってもらい、ねねは1日中お布団の中でぬくぬくし…もとい、療養していた。

さて、今朝である。雪の予報があったので、ねねはいつもより30分も早く起きてみぞれ雪の中、家を出た。あたりは不思議なほどしーんと静まりかえっていて、駅へ歩く人もまばらであった。
これなら行けるっ!
と思ったねねの頭を、あとからぽこぽこしてやりたい。

駅に近づくにつれ段々と人が増え、最寄り駅のホームに着いてみれば、あふれんばかりの人である。
人におされ、前と後ろから冷たいみぞれ雪に吹き晒されて待つこと20分、ようやく電車がやってきた。だが、これがいままで見たことないくらいの寿司詰め状態であった。

…乗れなかった。
嫌な予感がした。朝のラッシュ時である。これからどんどん混む時間帯である。

次の電車はなかなか来ない。
そのうちに駅アナウンスが入った。
「ただ今電車は、(いくつか手前の)○○駅に停車しておりますが、人が多すぎて扉が閉まらず、発車できないとの情報が入っております。当駅でもほとんど乗車はできないと思われますので、ご了承ください。」

…ご了承くださいと言われても。

結局、その後1時間半待っても電車は2本しか来ず、電車には乗れなかった。
その間ずっと同じアナウンスを繰り返していたため、あきらめて職場に電話し、帰路につくことにした。
約15年間この路線を使っていて、初めての経験である。

まあいろいろ重なって体調もかなり悪くなっていたし、最良の判断であったとは思う。しかし、止まっているならまだしも、電車が遅れて目的地に着けないなんて、ねねの人生で1,2を争う残念な日であった。

後からいろいろニュースを聞いていたら、この路線、この日は雪は降るわ、架線が切断されるわ、木が倒れて車両が車庫から出られなくなるわ、散々だったらしい。まあ電車を責めるつもりはないけども。

いろいろツイてない、記念すべき1日であった。

温泉

2016年1月9日 日常
年が明けて、あっという間に1週間経った。
仕事始めの1週間というのは、なんとも忙しない。お正月気分は吹き飛んでしまった。
七草粥食べればよかった。

さて。話は年末にさかのぼる。
まもなくすると旅行なんかも自由に行けなくなるだろうということで、ユウさんが温泉旅行に連れて行ってくれた。
山梨県の下部温泉である。山の谷間にある静かな温泉街で、草津や熱海のような観光地としての色気は全くない。宿の佇まいも昭和を思わせる木造である。またこれは偶然であったらしいが、他の宿泊客がほとんどなかった。
これがねねの好みのど真ん中であった。

温泉が岩造りの洞窟のようになっていて、源泉がぬるめの冷泉だったためにちょっと寒かったことを除けば、完璧理想の温泉郷である。

にぎやかで、遊ぶところがたくさんある温泉街もそれはそれで楽しいものだが、最近は、こういうしっぽりとした、雪がしんしん降っていそうな静かな温泉街が性に合う。

まあ子どもが生まれたら、しばらくはこんなところにも来られなくなるだろうから、今のうち・・・である。

あけまして。

2016年1月3日 日常
2016年、あけましておめでとうございます。
あっという間に3日も終わろうとしている。年末に終わらなかった大掃除をして、年末に終わらなかった年賀状を書きつつ、このブログを書いている。

クリスマスから年末年始にかけては、どうも「特別な日々」の感が強い。日常の変わらない日々をこよなく愛するねねにとっては少し居心地が悪い。昔はこの特別な感じが楽しくて、毎年ワクワクしていたものだが、ここ最近は、何か「特別なことをしなければいけない」という世間の重圧(?)のようなものが、ちょっぴり重く感じられる。

それはそれとして、年末年始をどう過ごしたか、毎年すぐに忘れてしまうので、備忘録を兼ねて綴っておく。

2015年クリスマス
24日こそ、世間のクリスマスイブ気分を跳ね除けて、仕事帰りに今川焼を購入して、ちょっとした満足感をもって帰宅した。しかし25日は、ちょうど仕事の休みが取れたこともあって、家族でクリスマスをお祝いしてしまった。
鶏ももの骨付き肉、クリームシチュー、タラモサラダにチーズとフランスパンなんか切っちゃって、ワイングラスを持ち出して(ただし中身はジンジャーエール)、ケーキなんかも食べてしまった。ちょっぴり世間に負けた気分である。

2015年年末
暦どおり、28日に仕事納め、29日からの年末年始休みであった。
28日業後は、職場の打ち上げ会が盛大に執り行われたようであったが、お酒も飲めないし、しばし残業して、大人しく家に帰って吉田のうどんを食べた。
ちなみに吉田のうどんは、先日山梨に旅行した際に購入したもので、味噌風味のつゆにきんぴらと牛肉のしぐれ煮、キャベツを具としてのせたもので、非常に美味である。

29日は、大掃除と年賀状作りを企画していたが、ユウさんの友人が来訪し、ゲーム、おしゃべり、そして焼肉パーティーが楽しすぎたため、あえなく断念した。ちなみに、お肉は奮発して、府中伊勢丹のお肉屋さんで購入した。

30日は、大掃除と年賀状作りを企画していたが、海外に住むねねの30年来の友人が、旦那様と一時帰国したため会いに行き、おしゃべりが楽しすぎた上、牛タンとパフェがおいし過ぎたため、あえなく断念した。
帰宅後、夜中までかけて年賀状だけは何とか作成したけども。

大晦日から岐阜、愛知へ赴き、親戚回りをしているうちに年が明けた。年越しは、岐阜のビジネスホテルであった。
大晦日には岐阜のねね祖母宅で、美味しい練り切りとすき焼きをいただき、元旦にはおせちにお雑煮。ユウさんの親戚宅でも、親戚の子どもたちにお年玉をあげ、おしゃべりをし、手作りチーズケーキやら手巻き寿司やらをお腹いっぱいいただいて、お正月感満載であった。

2日、今度はユウさんの実家にお邪魔し、そこでも子どもたちにお年玉をあげてゲームで遊び、チーズフォンデュをいただいた。

本日3日。ねねの東京の祖母宅に新年の挨拶に伺い、ここでもお節とお寿司をいただいた。

そして3日夜。明日から仕事を控え、1週間休みを与えられていたとは思えないほどの疲労感を味わっている。
誤解のないように言わせてもらうが、1日1日は非常に楽しく充実した日々であった。
ただ、詰め込みすぎであった…。

何はともあれ、今年も1年、良い年になりますように。


2016年正月 ねね

TOP HAT

2015年10月11日 日常
ミュージカル「TOP HAT」を観てきた。
なんというか、ミュージカル好きのねねの好みど真ん中をゆく作品であった。
素敵な歌があって、軽やかなステップのダンスがあって、華麗なドレスとスポットライト!
これぞミュージカルの王道である! ・・・とねねは思う。

確かに、ストーリーはひどかった(ここからはネタばれあります)。
要は、ボーイとガールがミーツして、すれ違いがありつつも最後はハッピーエンドを迎えて終わるという、本当にそれ以上でもそれ以下でもないラブコメディーなのだ。
まあそもそもは、1930年代に公開された映画を舞台化した作品なので、多少のストーリーの古臭さは仕方ない。にしてもである。

しかし逆に考えれば、これだけストーリーが古臭いのに、歌やダンスがまったく見劣りせず、全体として素晴らしい舞台作品に仕上がっているのはすごいことである。
80年経っても、素晴らしい音楽、ステップ、ダンスは、80年前と変わらず人を魅了する。

改めて、ミュージカルのエンターテイメント性の素晴らしさを実感した舞台であった。

秋の過ごし方。

2015年10月3日 日常
とにかく眠い。
仕事がある日はともかく、休みの日は、朝起きて、ご飯を食べて、お昼寝して、ちょっとお散歩して、おやつを食べてお昼寝して、夜ご飯食べてお昼寝して、それから本格的に夜寝する・・・というしょうもない生活を送っている。

そのままコケが生えそうなだらだらっぷりである。
ねねの人生でこんなことは初めてで、いささかとまどっている。

何しろ大好きな秋である。
休みの日には行きたいこともやりたいこともそこそこある。
いつもなら、サイクリングしたり、山登りしたり、お散歩したり、気候の良い秋を満喫している頃なのだ。

仕方ないので、最近崇拝し始めた(気に入っている・・・と言うより、崇拝している・・・と言った方がかっこいい)司馬遼太郎先生の「坂の上の雲」を読んだり、「マリオカート」をしたりして、ごろごろする日々である。
つくづくもったいない、秋の過ごし方である。

秋の夕暮れ

2015年9月26日 日常
随分ご無沙汰になってしまった。
人生に波乱は付き物であるが、まさに波乱万丈の1ヶ月であった(おおげさ)。

日が短くなり、すっかり秋である。

秋の夜長、大好きな新妻聖子さんの歌声を聞きながらこのブログを書いている。
肌寒いくらいの夜である。

昼間、日差しが弱まったせいか、妙にサイクリングしたくなる。
最近ユウさんと二人で、よく府中、三鷹、深大寺や吉祥寺など、自転車をコキコキ行っている。
二人で・・・とは言っても、ユウさんの速度はかなり速い。ねねがのんびり漕いでいると、ゆうに100メートルは離される。もはや二人でサイクリングしているとは言えない離されっぷりである。

それはさておき、自転車はねねのような車の運転オンチにとっては文明の利器であると言える。歩くより早く行けるし、何より気持ちが良い。
先日、吉祥寺へ行った帰り、おそらく18時頃だったと思うが、日も暮れてだいぶ暗くなり始めていたときのこと。
例のごとくユウさんの100メートルばかり後ろをコキコキしながら、ふと空を眺めると、まだうっすら赤い西の空の反対側に、形の良い半月が昇っていた。
このいつもとなんら変わりのない半月が、妙にきれいに思えた。
秋の夕暮れ、心地よい風を切りながら、きれいな夜空を眺めて、なぜか、あー幸せだなーと思えたときであった。

夏の終わり

2015年8月30日 日常
8月も終わりである。
朝夕涼しくなってくると、夏の終わりを感じる。

私は暑い夏をそれほど好きではないが、それでもこの時期の肌寒さは、夏の終わりを告げるようで少しもの悲しい。

なんやかや、夏はいろんなイベント盛りだくさんである。
そういう意味では、今年の夏は楽しかった。
北海道旅行、奥多摩酒蔵の旅、鴨川温泉旅行、東京湾ディナークルーズ、花火大会、土浦の友人の新居にも行った。
昨年、結婚式や結婚の準備で何もしないうちに過ぎてしまった夏に比べ、今年はとても楽しかった。

不思議なもので、毎年夏の終わりが近づいて、肌寒くなってくると、そういった思い出が走馬灯のように駆け巡り、もの悲しさがよぎるのである。
夏の暑さが過ぎるのとともに、体中の熱がす~っと引いて、我に返ったようである。

そして、そんな感慨を吹き飛ばすように、あっという間に秋が来る。
大好きな秋の到来は、もうすぐである。

花火大会。

2015年8月17日 日常
夕暮れどき。
地元のモスバーガーで、たーこちゃんと、かおちゃんとお茶していると、ユウさんが車で迎えに来てくれた。
行き先は、多摩川の川辺。是政橋を渡ってすぐのパーキングに車を停めて待っていると、買い物を終えたみんなが集まってきた。
買って来てくれたのは、箱いっぱいの花火、花火、花火。

石で小さな釜戸を作って、真ん中にロウソクを置いて。バケツに水を用意して。あっと言う間に日が暮れて、総勢10人の、花火大会の始まりである。

手持ち花火やトンボ花火や噴射花火。ぬいぐるみ付き花火まであって、みんな思い思いにはしゃいでいる。

派手に飛び出す噴射花火も、静かに光る手持ち花火も、光るのはほんの一瞬。
それなのに、暗闇にはじける光は、なんでこんなに魅力的なのだろう。
たとえば、街に広がるイルミネーションも、夜空に轟く稲妻も、心を高ぶらせる大好きな光だ。

大方の噴射花火を終えて、手持ち花火も残り少なくなって、ちらほら線香花火が光り出す。

そして、思い思いにはじける花火の真ん中で、ふとその光の向こうを見上げると、そこには夜空一面の星が輝いていた。

世間は夏休み。まんざら他人事でもないねねは、最近遊び過ぎている。
すっかりこちらがおろそかになってしまった。
ディナークルージング、千葉の海。畑、田んぼ、田んぼ、牛。
気持ちが良かった…。

北海道備忘録、つづき。
やっぱり楽しくないよ。

富良野、美瑛
ザ・北海道とも言うべき広大な畑、花畑etc....
そして涼しい…。
地平線まで広がるほどのラベンダー、ひまわり、サルビアなどの花畑は、徒歩ではとてもまわりきれなくて、ユウさんがカートを運転してくれた。道はガタガタだったけれど、気分は良い。
そして。「富良野チーズ工房」なるチーズ屋さんで牛乳飲んで、チーズを味見して、お土産を買い、「歩人(ホビット)」なるソーセージ屋さんで、ベーコンやソーセージをお土産に買った。
「あるうのぱいん」というカフェでチーズフォンデュをいただき、牧場でソフトクリームを食べた。
食べまくり、買いまくりである。
どこまで行っても平地が広がっていて、快適なドライブであった。


旭山動物園~旭川
美瑛から、旭山動物園は、車で目と鼻の先である。
ホッキョクグマやペンギンや、狼やアライグマ。みんな暑くてバテていた…。
おサルの山は、ちっちゃな子ザルもいて、かわいくて、いくら見ていても飽きない。

帰りは、旭川空港でラーメンを食べて、空港で飛行機が飛び立つのをるんるんで眺めるユウさんを眺めて、北海道を後にした。

そして。
涼しくて、広くて素敵な北海道が恋しくて仕方がない今日この頃なのである。
函館から旭川まで、3泊4日の旅であった。
ねねは今、この暑い東京で、広大な北海道に思いを馳せながら、備忘録としてこのブログを書いている。
何よりも、北海道は涼しかった・・・。
あくまで備忘録です。楽しくないよ。


函館
 一番素敵なのは函館山から眺める夜景。ナポリ、香港と並ぶ世界三大夜景らしい。だれが決めたのか知らないが、函館の風景に街の明かりが映えて、美しいことには変わりない。ふもとに明治期の教会や洋館の建物が広がっていて、そのライトアップも美しい。
 土方歳三目当てで、行った五稜郭。展望台から眺めた五角形が美しい。そして、土方さんはかっこいい。
 函館朝市の海鮮丼は言うまでもなく。ウニもいくらも蟹もえびも申し分ない。どれも添加物がないためか、味が濃くなく、やわらかな味わい。
 ちなみに函館で5店舗くらい発見した「ラッキーピエロ」。ほとんど函館のみでチェーンを展開するハンバーガー専門店(※ただしパスタやハンバーグ、カツ丼も扱っている)である。トマトにパテに目玉焼きが入ったどでかい手作りハンバーガーが美味であった。

洞爺湖~登別
 有珠山と昭和新山。有珠山はこの100年間に4回も噴火したという活火山で、噴火でできた昭和新山からは、今でもうっすら煙が噴き出ていた。ロープウェイで有珠山のふもとから山頂付近まで上ることができる。箱根の大涌谷とは比べ物にならないほど広大。そして涼しい。ロープウェイの山頂駅にはちゃんと避難壕があるのが印象的だった。
 宿泊先は登別の第一滝本館という大きなホテル。登別にも地獄谷があって、夜には「鬼花火」なるイベントが催されていた。温泉は特有の硫黄臭があったが、やたらと美肌になるらしい。
 途中通過した室蘭。ユウさんが、廃工場やら、電波塔やら、貨物列車やらにやたらと感動していた。確かに広大な工場地帯が印象的。

つづく。

元カノと

2015年7月24日 日常
旅行に行くのがブームらしい。

最近、立て続けに二人くらい、職場の後輩くんが「元カノと旅行に」行った。ひとりはバリ島、もうひとりは石垣島らしい。

ねねにしてみれば、これはたいへんびっくりな出来事である。
ねねの定義では、元カノとは元の彼女であり、一緒に旅行に行って、お泊りなんてしようものなら、それはもう現在進行形の彼女である!!

付き合い行動というものは、とてもあいまいなもので、そもそも定義なんてないのかも知れない。
けれども、例えばねねに今付き合っている人がいて、その人が「ちょっと来週元カノと旅行行ってくるよ!」なんて言った日には、もう自分の常識が180度くらい間違ってたんじゃないかと思うレベルである。

あんまりこんなことは言いたくないけれども、2015年の付き合い行動は、すでにねねには未知の領域であった。つくづく、現役「付き合い行動世代」でなくて良かったと思う今日この頃である。

これに同意してくれる人が一人でも居てくれたら、ねねは少し元気になります。

夜のお散歩

2015年7月14日 日常
土曜日の宵。
夕飯を食べ終えて、私は天使の寝床に座ってまどろんでいた。
ご飯をお腹いっぱい食べた後、ゆっくりお昼寝できることほど、幸せなことはない。
外はもう真っ暗で、開け放した窓から風がす~っと吹き込んでくる。

ふと、私は天使の寝床から起き上がった。
そして、隣で同じようにまどろんでいたユウさんに向かって、「おやつが食べたい」とつぶやいた。
ゆっくりと顔を上げて、少し目をしばしばさせたユウさんは、「じゃあ、そこまで買いに行くか」と言って立ち上がった。私はニンマリする。
お腹はいっぱいで、本当はおやつなんか食べたくなかったけれど、こう言えば、ユウさんが外に連れ出してくれるのを、私は知っていた。

梅雨の夜。
一歩外に出ると、もわっとした生ぬるい空気。

実のところ、昼間読んでいた詩の中の、「紫の天空にかかる星」という一節にいたく感動した私は、急に夜空を眺めたくなったのだ。
期待を込めて空を仰いだけれど、色はグレー。星はなく、暗い空一面に白くて薄い雲が広がっている。
私はがっかりした。

そんな私の気も知らず、ユウさんは今日思いついたアイディアを楽しそうに話している。いつも思うのだ。ユウさんの頭の中は、昔観た映画の中の主人公の鞄の様に、底なしである。

コンビニエンスストアに続く「あんずどおり」は、杏の実が実り始めていた。季節がら、葉っぱは茂り放題、実は実り放題だ。この時期特有のみずみずしさでいっぱいで、若葉のかおりが心地よい。

お店に着くころには、私のお腹は、だいぶ「おやつ腹」になっていた。ユウさんはナタデココのゼリー、私はぶどうのゼリーを買って、また、同じ道をるんるんで歩く。
「あんずどおり」を少しだけそれると、じゃがいも畑がある。いつもの様に、「早く大きくな~れ」と二人でエールを送って、そのまま街灯のない道を歩く。

だんだんと、夜の空気が肌に馴染んで、気持ちが良くなってきた。本当は大きな声で歌をうたいたい気分だったけれど、ユウさんが文句を言うので、小さい声で、こっそりうたう。
ユウさんにも聞こえているはずだけれど、見逃してくれているのだろう。たぶん。

家に着いた時、もう一度空を眺めた。濃紺の空に銀色の雲。
「紫の天空にかかる星」ではなかったけれど、これはこれで、悪くないと思えた。

#フィクションだけど、だいたいノンフィクションの物語

朝の過ごし方

2015年7月12日 日常
朝の過ごし方は人それぞれであろう。

平日、仕事のある日の朝は苦手である。
出勤の一時間前に起きて、昨日から作り置いてあった味噌汁を温めて、納豆をかき混ぜて、ご飯を食べたらすぐに歯を磨いて、身支度をしてばたばたと出勤する。
この何とも忙しない朝が、ねねは本当に苦手である。

休日の朝は素敵である。
好きな時間に起きて、しばらくぼ~っとして、身づくろいをしてから朝ご飯を作る。ユウさんと何か見ながら食べて、またしばらくぼ~っとして、家事を済ませながら、お湯を沸かしてお茶をいれる。お茶を飲みながらまたぼ~っとして、ゆったりと一日が始まるのである。
とても愛おしい時間だ。

ここから察するに、苦手か愛おしいかの違いは、「ぼ~っと」する時間があるかどうかの差であるように思う。
ただぼ~っとするのではない。いろいろな活動の間に、しばし入る「ぼ~っと」する時間。
ねねの朝は、これが心のゆとりと大きく結びついているのである。

美しいの気持ち

2015年6月30日 日常
気持ちを言葉にするのは難しい。

例えば、赤い夕焼けを見た時の気持ちを「美しい夕焼けを見た」と言葉にする。
けれど大抵の場合、その夕焼けを見た時の気持ちは、そんな単純な言葉では表せない。
夕焼けの赤さや、目に入った瞬間の感動や、そのまま暮れていく空への哀愁や。
その他諸々の思いが渦巻いて、「美しい夕焼け」という単純な言葉に集約されただけなのだ。

この「その他諸々」を伝えたいのに、そんなありふれた言葉にしかできなかった時、心の中にもどかしさや悔しさが残る。
もどかしくて、悔しくて、腹立たしくなって。日常のそうった不満がどんどんどんどんたまって、泣きわめいたり、怒鳴りちらしたり「美しい」からはかけ離れた形で現れてしまう。

気持ちを言葉にするためには、技術が必要なのである。


気持ちが伝わる文章、美しい文章。
ごくまれに、そういうものに出会うことができる。
ねねも、そういうものを目指したい。

雨の匂い

2015年6月25日 日常
外は雨。朝からずっと降っている。
しとしとしとしと。
窓を開けて、大きく深呼吸すると、雨の匂いがする。

雨の匂いは、土の匂いと、葉っぱの匂いと、お陽さまが湿る匂い。
誰かの歩きタバコの匂いと、どこかで炒め物をする美味しい匂い。

晴れている日には気づかない色んな匂い。
いっぱいに広がるお陽さまの匂いのかげに隠れている色んな匂いが、雨の日には少しだけ顔を出す。

なのだとしたら、雨の日もたまには悪くないものである。
関東が梅雨入りして、毎日冴えないお天気である。しとしと、じめじめ、嫌な気分。
1年に1回、1ヶ月以上もこんな嫌な気分が続いたら、人生損をしたようではないか!
ということで、現在、「梅雨の素敵を探そうプロジェクト」を実施中である。
名前のとおり、
「梅雨の良いところを少しでも見つけて、嫌な季節を乗り切ろう!!」
という、単純極まりない独りプロジェクトだ。

しかし、始めてみると不思議なもので、雨降りが待ち遠しくなる。
それはそうであろう。雨が降ってくれなければ、梅雨の良いところも見つけられないのである。
そして、雨が降ると嬉しくなって、とりあえず外に出て、深呼吸してみたり、ちょっと近所をお散歩したりしてみたりする。そうやって梅雨を感じなければ、梅雨の良いところも見つけられないからである。

雨が降ってほしいのか、晴れてほしいのか。
最早何をしたいのかよくわからないプロジェクトになっている。


しかし、よくよく思い返してみれば、こんなことは昔もあった。
春になれば、つくしやたんぽぽの綿毛で遊び、夏は昆虫に夢中になった。秋には赤い落ち葉を踏んで遊び、雪の日は、外が気になって何も手につかなかった。
片道30分の小学校までの道のりを、寄り道しいしい、1時間以上かけて歩いていた(そして、学校に遅刻した)。
めいっぱい季節を感じて、楽しんでいた。


いつの頃からか、季節の移り変わりが当たり前になり、気に留めなくなった。
忙しい毎日で、通勤時はイヤホンを耳にあて、スマホをいじりながら、時間に追われて忙しなく歩くだけになった。

それはそれで、仕方のないことなのだ。
子どもの頃に比べたら、見たいもの、聴きたいこと、やりたいことは格段に増え、手に入れなければならない情報は山ほどある。季節の変化にとらわれてばかりはいられない。


でもたまには、イヤホンをはずして、顔を上げて、ゆっくりと歩いてみるのだ。
ちょっと立ち止まって後ろを振り返れば、重苦しい梅雨空の向こうに、一面の夏の青空が広がっているかも知れない。

天使の寝床

2015年6月11日 日常
…は雲の上。

2回続けて我が家の話である。
住んでいる家を好きになる理由は、何だろうか。

ねねの場合、断然、家の中にベストポジションがあるかどうか、で決まる。ねねはこれを「天使の寝床」と勝手に呼んでいる。
30年住み続けた我が家の天使の寝床は、2階の角部屋であった。3方がドアや窓に囲まれていて、開け放しておくと風がひゅ~っと流れて気持ちが良くて、お昼寝に最適であった。

さて。新しい家に引っ越して、早速、ねねは天使の寝床探しを始めた。
ユウさんが、外出している隙に(または寝ている隙に)、家のいろんな場所に座ってみたり、寝転がってみたりしたものだ。
新しい我が家を好きになれるかどうかの瀬戸際だ。必死である。

そしてついに見つけた天使の寝床は、リビングのソファであった。ソファに座ってリビングの窓とドアを開け放しておくと、風がひゅ~っと流れて気持ちが良くて、お昼寝に最適なのである。

気持ち良くお昼寝ができる家こそ、最高の我が家なのである。

我が家。

2015年6月6日 日常
 随分ご無沙汰していたと思ったら、2年半が経っていた。
 ちょっとこちらを怠けている間に、いろんなことがあって、文体まで変わってしまった。
 2年半前、どんなテンションであのふわふわした文章を書いていたのか、本当に思い出せないのである。

 さて。この2年半の間に一番大きく変わったことと言えば、まあ、結婚したことだろう。とは言っても、相方のユウさんが婿養子になってくれたので、名前は変わらないし、仕事を辞めた訳でもなければ、子どもができちゃった訳でもない。長年住み慣れた土地を離れ、隣の市に引越した程度である。
 これがこの2年半での一番大きな変化なのだから、ねねの生活など知れたものである。

 それでも、ねねにしてみれば、長年住み慣れた家を離れるというのは、なかなかに感慨深いものだった。
 ねねが出て行って、完全に住む人を失った我が家は、家族会議の結果、そのまま維持することが不可能であるという、当然の結論にたどり着いた。
 そのまま売りに出され、あっさり買い手が見つかって、それからは怒涛の片付け、廃棄、引越しの作業であった。

 そして、それが全て終わった今、不思議な喪失感に苛まれている。
 住んでいた時は、職場から遠いし、駅からも遠い、夜は真っ暗で独りで住むには心細いし、無駄に庭も家も広いから掃除も大変。
 そんな不満ばかりだったのが、失ってみると、あの家のことばかり思い出すのである。特別に良い思い出が出てくる訳ではない。ラジオを聴きながら炬燵で勉強してたとか、和室で昼寝してたとか、ベーグル焼いて美味しく食べたとか、そんなごく平凡な日常の思い出が、夢にまで出てきて、涙ぐむ始末である。

 家自体は同じ場所にあるのだから、また行ってみたいとも思うが、見たくないとも思う。

 昔、どこでか忘れたが、こんな物語を読んだ。
 主人公が、新居を探して、とある中古の家を見学する。その時、その中古の家が、主人公に話しかけて来るのだ。
「私の前のご主人は、そりゃあ素敵な人たちだったんだから。まさかあなた、私を買いたいなんて言うんじゃないでしょうね?」
主人公は、その家の拒絶を目の当たりにして、買うことをあきらめるのである。

 30年住み続けた我が家は、きっと新しいご主人を拒絶したりしないだろう。開放的で、風が良くとおって、日当たりも良い、広くて、住みやすくて、誰にでも気に入られる家なのだ。

 
 そして、前のご主人はと言えば、それがちょっぴり悲しくて、寂しいのである。

明けました!!

2013年1月9日 日常
2013年が明けました!!

年末年始は、喪中だった割には、岐阜やら愛知やら箱根やら。あちこち行ってなかなかに多忙でした。
行った先々で、良いことがたくさんありましたけどね。
おかげで風邪を2回も引きましたが、楽しいお正月でした。

そしてそして。
最近嬉しいニュースがいろいろありました。
その度にねねまでるんるん♪
でも、最近よく思うのは、ひとの幸せに自分までるんるんできるということは、自分もそこそこ幸せなんだろうな…ということ。
幸せの連鎖…。素敵ですな。。

今年もよろしくお願いします。

ねね

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